お灸(ハーブQ)
ハーブQとは?
従来から温灸治療と言われる治療法には、様々な方法があります。中でも、生姜やニンニク、ビワの葉を用いる方法は、単に艾(もぐさ)の燃焼による温熱が作用するだけでなく、皮膚に当てた生姜等の持つ成分が温熱で皮膚から浸透する事による作用が得られる優れた方法です。
それらは高い治療効果があり、今も多くの場面で行われていますが、艾(もぐさ)の燃焼による「煙」と「におい」、燃焼後の「灰の発生」が避けられず、状況によってはその施術を控える場面が生じることもあります。
そこで、その効果を発揮しつつ不要な3要素(煙、におい、灰)の発生を無くし、薬用植物の成分を手軽に、快適に、鍼灸師が治療に用いる事ができないか、さらに、「におい」を「良いにおい」としてアロマ作用に働かせる事ができないか、そこから考えられた方法が「ハーブQ」です。
ハーブQによる生体への影響
生薬成分の働きを期待してその成分を温熱で皮膚から浸透させることで作用を得る方法は、温熱灸のみならず入浴法などでも民間療法として古来よりあり、その効果は広く知られているところです。
殊にビワの葉の歴史は古く、約2500年前から仏教医学の中に取り入れられ、難病を治す力があると大切に伝承されてきました。お釈迦様は枇杷の樹を「大薬樹王」と申され、その葉をあらゆる病の憂いを無くす扇「無憂扇」名づけられたとか。日本では聖徳太子が創設した「施薬院」でビワの葉治療をした記録があります。
ビワの葉にはさまざまな成分が含まれていますが、特に「アミグダリン」と称されるビタミンが含まれていて、これが艾(もぐさ)などの熱で分解し体内に吸収されることで、難病・不治と言われた重病を軽快・治癒させる作用につながっています。特に鎮痛作用は顕著で、急性・慢性を問わず、その効果は驚くべきものです。
ハーブQの適応例
- 腰痛
- 五十肩
- 頚肩腕症候群
- 神経痛
- ひざ痛
- ベル麻痺(顔面まひ)
- 肩こり
- 全身疲労
- 風邪
- こむら返り など
ハーブQを受ける上での注意事項
次のいずれかに該当する方は、必ず事前に医師に相談してください。
- 悪性腫瘍のある方
- 心臓に障害のある方
- 温度間隔喪失が認められる方
- 妊娠初期の不安定期または出産直後の方
- 糖尿病などによる高度な末梢循環障害による知覚障害のある方
- 安静を必要とする方
- 体温が38℃以上(有熱期)の方
- 脊椎の骨折、ねんざ、肉離れなどの急性疾患の方
- 低温やけどをしたことのある方
引用元:「ハーブQ 活用ハンドブック」 著者:岡田 高